Erika2,560 reviews74 followersSeptember 8, 2020「言葉が理解できる」とは具体的にどういう事なのか、イタチたちをはじめとするあらゆる生き物達(魚、アリ、フクロウ、オコジョ、タヌキ達...)を巻き込んだ「ロボット作り」の話を通して解説する本。とても読みやすいし、各章の終わりにはもう少し詳しく解説されているので、今後どのような文献でさらに知識を増やせばいいのかもわかる。私はロボットの発展を知りたくて、題名の「人工知能」にひかれて借りた。が、「人工知能」とその研究に関する知識を得る代わりに、「ロボットが人間と全く同じような会話ができるようになるためにはどのような条件付けが必要か」という課題から、「私たちが普通に使う言語の複雑さ」がよく分かった。(いや、そもそもその段階がいかに難しいか分かっただけでも、完璧な「人工知能」が今は不可能だという知識を得られた、とも言えるかも)人間同士でも文脈を読み間違えてミスコミュニケーションが発生するのに(著者がいうようにTwitterで文字ベースのコミュニケーションが増えた昨今は特に)、ロボットが完璧に人間的な会話をできるようになるなんて、夢のまた夢なのでは。ちなみに、何故主人公が「イタチ」なのかは本を最後まで読んだ人ならわかる、という著者のあとがきを読み、暫く考え、最後の段落をもう一回見返し、やっと分かった。このスピードの遅さ、私に「言語の理解能力がある」と100%言えるだろうか…???(あると思いたい。けれど、文脈や行間から物事を理解するって凄く難しいんだなと痛感。こ���場���は、日本語のIdiom(日本語で何だっけ…熟語?)という「外の知識」がないと理解できないわけだし。人生は常に勉強だ。)それと、「理論言語学」という分野をちゃんと知る事ができたのも嬉しい。著者曰く、「外国語や語源の研究ではなくて、日本語を対象にして、私たちが何故言葉を話したり理解したりできるのかを研究する」学問らしい。面白い。著者の他の作品白と黒のとびらも借りてみよう。(note:この本を知った切っ掛け:多和田葉子の百年の散歩(新潮文庫)の表紙デザインの花松あゆみを検索してみたら、この本がヒットした。)non-fiction