2013年9月に決定した東京オリンピック。その招致の裏でカネが動いたのか。
追求を受けるJOC・竹田恒和会長の「渦中のコンサル」に関する発言は揺れる。
これまでの事実関係を整理する。
東京招致委はシンガポールのコンサルタント、イアン・タン氏が経営するブラックタイディングス社に2013年7月と10月、二度にわけて計約2億3000万円を支払った。
イアン・タン氏は、国際陸連前会長の息子で国際陸連の「コンサルタント」だったパパマッサタ・ディアク氏と友人で、関係が深いとされる。パパマッサタ氏の父親は、元IOC委員として強い影響力を持っていたラミン・ディアク氏だ。
ラミン氏は、ドーピング隠しを巡る汚職疑惑でフランス当局に捜査を受けている。曰く付きの人物だ。息子のパパマッサタ氏もこの問題で国際陸連から永久追放処分を受けた。英紙「ガーディアン」によると、ブラックタイディングス社の口座は、この汚職問題にも使われ、捜査を受けているという。
竹田会長の説明が揺れているのは、招致委がイアン・タン氏とディアク親子の関係を知っていたかという点。このルートで親子に金が渡り、東京招致への票のとりまとめに使われたのではないか。これが疑惑の焦点だ。
5月12日 JOCはそもそも「報道に答える立場にない」と主張していた
ガーディアンの報道により問題が表面化した12日、JOCの広報担当者はBuzzFeed Newsの取材にこう答えた。
「報道は我々の理解とは異なる。東京はIOCにベストの提案をして選ばれた」
ブラックタイディングス社への支払いの有無について繰り返し質問したところ、「すでに招致委員会は解散しており、(疑惑を報道した)ガーディアンの報道に答える立場にない。我々の理解とは異なるとしか言えない」と回答した。
JOCの竹田会長が当時、招致委の理事長を務めていたにも関わらず、組織が違うとして直接の回答を拒んでいた。
5月13日 「疑惑をもたれるような支払いではない」と発表
契約した会社は大変実績のある代理店であり、その実績に期待し契約を行なったものである。彼らは、アジア中東の情報分析のエキスパートであり、その分野におけるサービスを受け取っている。契約に基づく業務に対する対価の支払いであり、なんら疑惑をもたれるような支払いではない。(5月13日発表の文書より)
5月13日、JOCは文書で見解を発表した。そこには招致委の元理事長として、竹田会長の名前があった。ブラックタイディングス社の名前は出さなかったが、疑惑のコンサルタントへの金の支払いを認めた。イアン・タン氏とディアク親子のつながりには言及せず、「なんら疑惑を持たれるような支払いではない」と強調した。
5月16日の国会答弁では「まったく知る由もない」
16日の衆議院予算委員会。国会で答弁に立った竹田会長は、ディアク親子とイアン・タン氏のつながりについて問われ、こう答弁した。
「特にアジア、中東地域での活動実績が強いことに期待した。特に陸上には影響力があると各方面からも聞いていた」
「国際陸連の会長、親族が関係していることはまったく知る由もなかった」
「ディアク親子の知人の範囲であれば問題ないと認識している」
「まったく知る由もなかった」と否定してたのだが、答弁は一転する。
5月18日「関係は知っていた」
18日、衆議院文部科学委員会、参考人として呼ばれた竹田会長は、淡々とした口調で答弁を修正した。
「ブラックタイディングス社が国際陸連の仕事、業務実績がありますから、当然ブラックタイディングス社とディアク会長は知らないわけはないと思います。その関係をもちろん知っての上での契約です。ただ、いま報道で出ているような関係については知らなかった」
ディアク親子とイアン・タン氏は関係があると知っていたことを、一転して認めた。突然のことに驚き、確認を求める質問も飛びだした。それに対し、竹田会長は口調を変えず、次のように述べた。
「ディアク氏とブラックタイディングス社とのつながりは知っていた。ただ、関係を知らなかったというのは、報道に出ているような関係は知らないという意味だった」
CORRECTION
パパマッサタ・ディアク氏の経歴を修正しました。